矢沢あい先生の大人気漫画『NANA』。
特に登場人物が魅力的なんですよね。
今回はヤスの長年の彼女？愛人の詩音さんについて、セリフを交えながら深堀していきます。
目次
ヤスの長年の愛人・詩音
女同士の友情がテーマの作品のせいか、女同士の戦いがあまりないNANAですが、ヤスを巡っては、美雨ＶＳ詩音の対決が目立ちます。
詩音の初登場シーンは14巻にブラストが大阪に巡業中、ナナの妹の美里（本物）と接触をする時です。
また、16巻の番外編「NOBU」には中高生時代の詩音が登場しています。
レンとヤス達が所属していたバンド「ブルート」についてノブのモノローグのシーン。
細かいセリフは忘れましたがおおまかに言うと…
ノブ（ブルートのメンバーはとにかくハチャメチャでファンの女の子達とも過剰な交流をするけど、その中で唯一ヤスだけはマトモだった）
ここのシーンで、ヤスの隣には中高校生くらいのおかっぱの詩音が横にいます。
↑中高生のときのヤスと詩音。目の下のほくろが目印。
他のシーンでもヤスの隣には必ず詩音がいて、ドラムのスティックも詩音が持ち、ヤスと一緒に歩いています。
ブルートのメンバー達はライブの後はファンの女の子達と一緒にどこかに消えいき、その中にヤスもいて詩音もいる状況。
その後のノブのモノローグ（今思えば、あのグループの中でヤスだけがマトモだったかは甚だ疑問だ）
つまりヤスは詩音が中高生の頃から詩音と付き合ってる？という事ですよね。
大人になってもまだ関係を持ってそうだから、かなり長い付き合いになります。
決してヤスの恋の邪魔はしない詩音
ヤスはその後、高校生のレイラと付き合い始めます。
レイラ達、トラネスのメンバーがレンの隠れ家（悪の巣窟？）に来た時、
レイラは真っ先にヤスの元に行きますが、ヤスは詩音（この時はブロンドのロング）と一緒にいました。
ライターに火をつけてもらって（手を握りながら）なにやら仲良い様子。
レイラは負けじと「お疲れさまで～す」と自分の制服のの可愛さを武器に挨拶をし
詩音は自信満々な顔をしながらもヤスの元から去っていきます。
詩音はいつもヤスの傍にいながらヤスの恋愛の邪魔は決してしません。
その後、レイラとヤスが付き合い始めたと聞いても、傷ついたそぶりも見せません。
詩音「私はヤスの愛するもの全てを愛するの、愛の極意」とタクミに言い放ちます。
10代後半で既にそこまで悟りを開いてる詩音、おそるべし…。
普通、好きだったら独占したいし、彼女になりたいのが普通なのに。
未だにヤスと密会をしている詩音…
現代編のヤスと詩音の密会を示唆するシーンは衝撃でした。
大阪にブラスト巡業中に詩音がヤスのホテルの部屋を訪ねる場面をノブとシンちゃんが目撃してしまいます。
しかもヤスは直前まで美雨とパソコンでメールした後で、詩音と密会！
な～んか私の中でヤスのイメージが崩壊した瞬間でした…（切り替え早いな！）
詩音とヤスの密会シーンはそれだけだと信じたいのですが、
福岡巡業中にヤスが美雨を自分のホテルの部屋に呼び出した朝（仕事さぼった百合を美雨が九州まで迎えに来たとき）
ホテルのドアの所で美雨と詩音はすれ違います。（お互い気づかず）
詩音の子分「ね～ブラストのクリスマスライブ誰呼ぶの？昔からのファンは集まらないよ～」
詩音「それはリーダー（ヤス）もわかってるよ。地元にはこだわらないから、これからのブラストを盛り上げてくれそうな子達をピックアップして」
またしても詩音とヤスが密に連絡を取り合ってる、ツーカーなのを感じさせるセリフです。
詩音はたぶん福岡ではヤスと同じホテルに泊まってたか、ヤスの部屋にいたかのどちらかですね。（一体どっちだろう？）
まさか詩音と密会したその部屋に朝、美雨を呼んだって事はないとは思いたいんですが…
詩音がヤスの事を『リーダー』と他人行儀に呼んでるので、会った時にヤスが美雨と真剣に付き合ってる事を詩音に伝えた可能性はあります。
ヤスはタクミと違って浮気はしないタイプらしいので（ヤス曰く）、ヤスが誰かと付き合ってる時は、詩音もヤスから一線引いてるのではないでしょうか。
ついに詩音と美雨のご対面
その後、ブラストのクリスマスライブの時に、ついに今カノ美雨との接触をします。
ライブ会場にまるでスタッフのように溶け込む詩音。
ここで詩音の状況が結構明らかになっています。
- ブラストの追っかけをしてるため定職にはついてない
- （スポンサー的な）パパに食べさせてもらっている
また、少し飛びますがサーチの倉田が美里（本物）の行方を母親に知らせたときにセリフで
倉田「東京の歓楽街であんな素行の悪い女（詩音の事）に拾われたんじゃあっという間に転落するよ」とあります。
この事から詩音はおそらくお金持ちの愛人のような事をして生計を立てているのだと考えられます。
詩音が美雨と対面したときに、
詩音「ヤスとは古くからの友人で、彼女がいる事も知ってますよ」と言いながら、ヤスとお揃いの指輪に同じ銘柄のタバコを吸ってる姿を美雨に見せつけます。
案の定、美雨は詩音とヤスがただならぬ関係であることに気づきイライラＭＡＸ。
ヤスとの関係にまだ自信が持てないでいます。
一方、詩音にとってはレイラも美雨もあまり眼中になさそうです。
昔からヤスの事は私が一番わかってるのよ、という絶対的な自信があるんでしょうね。
絶対的余裕を持つ詩音
詩音はヤスの彼女でいる事を望んでないように見えます。
それはなぜでしょう？
NANAの母親についてサーチにスクープされて、大阪の上原家に危機が訪れたときに、ヤスに頼まれた詩音は上原家の様子を見に行きます。
その時のヤスと詩音の会話。詩音は大きなバスタブに浸かりながら、
詩音「私はヤスの為なら人殺しだってなれるわよ」
若干ヤスが困ってるように見えますが、詩音なら本当にしそうで怖い…
ヤス曰く詩音は昔は一匹狼だったようですね。
偽・美里（舞）もブラストの追っかけ時代は学校でも家でも自分の居場所がないようだったので、
孤独な女子がブルートやブラストのようなパンクバンドにハマりやすいんでしょうかね…？
詩音は東京の街をフラフラさまよってた美里（本物）を詩音が見つけて保護します。
その時にヤスが詩音の部屋にかけつけ
美里が寝てたので、起きるまで部屋でくつろごうとすると、
詩音「帰って。ヤスが浮気しない主義なのは知ってるし、二人でいても手持無沙汰なだけよ」
そこでヤスは自分の吸ってるタバコを詩音に咥えさせ、帰り、詩音は少しせつない顔をします。
このシーンはちょっとせつなかったなぁ。
詩音はヤスが本命彼女がいる時はやっぱり一歩引くんですよね～
ヤスが自分のタバコを詩音にあげたのは、キスの代わりのようにも感じます。
これまでの詩音VS美雨の対決（結果）
これまで振り返ると詩音ＶＳ美雨の対決は実にわかりやすいです。
- 大阪巡業…美雨とのメールの後、詩音と密会（詩音の勝ち）
- 九州巡業…詩音との密会or話し合いの後、美雨との朝食（美雨の勝ち）
- 保護された美里起きる…詩音からの呼び出し電話があったのにも関わらず、美雨とついに結ばれる（美雨の完全勝利）
こうして見るとヤスって実に無駄のない動きをしてますね（笑）
巡業中の遠距離で確実に美雨の心をがっちり掴んでいます。
美雨とヤスが親しくなるにつれ、詩音とヤスの距離感が遠ざかっていきます。
詩音に本音を打ち明ける美里（本物）
↑ナナの異父妹・上原美里（本物）。ブラストの追っかけをしているときに詩音と出会う
眠りから覚めた美里（本物）は自分の兄（おそらく異母兄弟）の事が好きだった事を、詩音に打ち明けます。
詩音は美里（本物）に言います。
詩音「身近に好きな人間が誰もいない事もあるんだから、それは恵まれた事だよ。
大切にしなくちゃ。好きな人に『ありがとう』と言われるのは『好き』言われるよりも報われた気持ちになるよ」
詩音は暖かい家族に恵まれなかった可能性がありますね…。
そしてここで衝撃の事実がわかります。
詩音はヤスの彼女になりたくはない、辞退した。
なぜなら他人を独り占めするのは無理だと考えていて、きっとヤスを困らせてぶち壊してしまうだろうから。
詩音がヤスの彼女になることにこだわらない理由がやっとわかった気がします。
詩音は自分の中の好きな物に対する凶暴性？みたいなものを自覚してるようにも感じます。
すでにブラストの追っかけの為に人生捧げているようなものですもんね。
詩音と偽・美里（舞）の共通点
↑偽・上原美里（本名：都築舞）。ナナの家族について知ってるという優越感からナナの妹の名前を名乗っていた。
好きな物に対する凶暴性については偽・美里（舞）にも共通点があります。
舞はブラストに関するものはとことん調べ尽します。それこそストーカー並みに。
自宅にはブラストやナナの記事をファイリングした物がコレクションのように並べられていて、ＯＬストーカー事件のニュースを聞いてＴＶの電源を消してしまいます。
おそらくストーカー事件の犯人と自分のブラストに対する行為を重ね合わせてしまったのでしょう。
その後の美里（舞）のセリフにこんなものがあります。
「好きな物を大切にするためには我慢が必要なのに、どうして好きな物に程我慢ができなくなってしまうんでしょう」
そうして美里は高校を辞め家を飛び出し、ブラストのマネージャーになるために四海に入社します。
美里も詩音と同様、ブラストに人生を捧げています。
詩音のハイライトシーンは美里（本物）が家出をしたときに保護して励ました所だと思ってます。
ヤスには美雨がいる為、その後存在感は一気に薄くなっていきますが、きっと詩音の事だから目立たない所でじ～っとヤスの事を見ているような気がします。
個人的にはヤスには詩音がお似合いなので二人がくっついて欲しかったですね。
ヤスと詩音は熟年夫婦のような落ち着きがあって好きです。
京助＆淳子みたいなね(*´▽｀*)
さいごに
今回はヤスの長年の愛人・詩音について語りました。
落ち着いた雰囲気で妙に色気がある詩音さん。
ヤスは美雨とくっついてしまったので、しばらくは詩音の辛い片思いが続きそうですが、幸せになってほしいものです。
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